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“効く”CRM施策のための2つのポイント

“効く”CRM施策のための2つのポイント
(株)ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役の木船より、シニアマーケティングにまつわるお話をさせていただきまます。今回は「“効く”CRM施策のための2つのポイント」です。

「ハルメク」が取り組むCRM(顧客関係性管理)とは?

雑誌社が取り組むCRM(顧客関係性管理)というと、いったい何だろう? と思うかもしれません。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、雑誌「ハルメク」は書店では販売せず、お客様に直接お届けし、販売する仕組みをとっています。そのため、顧客を“個”として捉え、継続的なコミュニケーションをすることができるようになっています。

更に、お客様の中から「ハルトモ」と呼ぶ各種調査にお答えいただけるパネルを組織しており、雑誌の企画や、商品開発において、お客様に聞くことがすぐできる環境も整備されています。

雑誌「ハルメク」をご注文いただきますと、雑誌「ハルメク」と通販雑誌「ハルメク健康と暮らし」、「ハルメクおしゃれ」が3冊セットでお客様のところに届きます。
これは、最近関係ができたお客様でも20年以上購読が続いているお客様でも変わらないお届け内容です。

トランザクション分析をもとにお客様をセグメントし、次のステージの施策を打つ!

しかし、これだけではお客様の状況に合わせたきめ細かな対応、つまりCRMができません。

そこで、単品通販企業では良くある手法とも言えますが、ハルメクはお客様のステージに合わせて、“今のこの方だけ”にピンポイントでご案内を出すことを計画的に実行しています。

「最近ご購読が始まった方だけへのご案内」「〇年以上ハルメクをご愛顧していただいている方だけのご案内」さらに通販雑誌では「通販を1回利用したお客様だけへのご案内」「コスメをご利用したことのないお客様だけのご案内」まで、お客様と長く太く付き合っていただくことをゴールに、トランザクション分析をもとにお客様をセグメントし、次のステージに進んでいただくための施策が容易に打てるようになっています。

“施策設計”と“検証”の2つのポイントが重要

また、健康食品やコスメでは、単品通販と同様に、定期契約の誘導をゴールに、お試し品利用→本品利用→定期契約利用と、1STEPずつ誘導していきます。

このSTEPを上がっていただくために、チラシ、メール、eメール、アウトバウンド、インバウンド、LINE@等の施策をきめ細やかに設計し、投下していきます。

ここで重要になるポイントは、2つ。“施策設計”と“検証”です。

1:“施策設計” ファクトと、ファクトから導き出される課題を問い詰める

まず1つめの“施策設計”ですが、他社のモノマネをしてそれとなく作ってしまう担当者もいるようですが、これはNGです。

お金の無駄になり、単純なオーバーコミュニケーションでお客様に嫌がられるのがオチになるのでやめましょう。

重要なのは、認知差分を把握することです。
0→1に上がる人・上がらない人、1→2に上がる人・上がらない人、2→3に上がる人・上がらない人がいます。この上がる人・上がらない人の認知差分を可視化しましょう。

年齢、年代、経済状況などのデモグラフィックによる違いは当然あるでしょうが、経済的に厳しい人は上がらないというような結論づけは表層的です。

仮に、「高い」「経済的に厳しい」というような回答が多かったとしても、価格対価値を感じていただけなかったにすぎません。

価格とは相対的なものであり、それは聞き方が表層的であるための一次回答です。

こういった事例では、顧客にインプットされている情報に差異があることが多いのです。
「この製法についての認知度が違う」、「原料についての認知度が違う」、「摂取目的のひとつに〇〇が含有されている率が高い」、など必ず違いが出ます。

CRMの定石は、この認知差分を事前の調査で明らかにし、その認知差分を段階的にコミュニケーションで埋めていく設計を行います

ここを意外とすっ飛ばして施策を組んでしまう担当者さんが多いので、施策を承認される方は、ファクトと、ファクトから導き出される課題を問い詰めて、納得してから承認するようにしましょう。

2:“検証” 必ずコントロール群をとった精緻な検証を行いましょう。

2つ目は、検証です。

当然CRM施策は、コストをかけて施策を投下することになるので、経済的効果を可視化することが重要です。
ABテストによって、より成果の高いクリエイティブを投下することも重要ですし、施策を投下する対象群が1塊で2万件程度を超えてくるのであれば、顧客を類型化し、数パターンの育成プランをつくってもROIが合うこともありますので、PDCAの展開をしてみることをお勧めします。

また、ダイレクト施策ではコントロール群を設定し(施策未投下層との比較)、必ず効果検証をしましょう。
なお、前年比・前月比の比較は、検証にノイズが入るのでミスリードの元凶になります。必ずコントロール群をとった精緻な検証をしてください。

また、STEP型コミュニケーションなど、目指すべきゴールまでもっていくために複数の施策を投下する場合がありますが、可能であれば、各施策単位でコントロール群をとり、かつ完全に施策対象外のコントロール群を確保することをお勧めいたします。

この際、母数がない場合は、後者の施策対象外のコントロール群の確保を優先してください。

検証できない施策は、業績が芳しくないときに削られる対象になり易いですが、そもそもそんな施策はするべきではありません。

あらゆるチェックを試みて、一定の経済換算をすること!

仮に、お客様への感謝の意を表すだけの施策を打つ場合で、コントロール群設定が難しい場合でも定性的なヒアリング(電話で30件感想を聞いてみる)や、別のCS調査(顧客満足度調査)のなかでキーワードが表出しているかなど、あらゆるチェックを試みて、一定の経済換算をすることをお勧めします。

「なんでも貨幣換算するのはドライだ」とお叱りを受けてしまいそうな気もしますが、経費削減で真っ先に消されるような施策ではお客様も喜びませんし、根っこが軽すぎます。

売上・利益はお客様の感謝・支持が数値化されたものです。顧客を特定できるビジネスにおいてCRMは基本的には全て数値化できます。

また、当社の支援企業様は通販だけでなく、不動産業、サービス企業はじめ多岐にわたりますが、この原理原則は普遍的です。

できていないという企業様、一度上記2点取り組んでみると結果が変わってきますので参考にしてみてください。

木船 信義(きふね しんぎ)

株式会社 ハルメク・エイジマーケティング 代表取締役
らでぃっしゅぼーや株式会社(現:オイシックス・ラ・大地)で11年間。マーケティング課長、経営企画課長を経験。
2014年、いきいき(現ハルメク)入社。 CRMマーケティング責任者、新規事業開発責任者を歴任。2018年4月に、シニア特化型マーケティングコンサルティング会社、株式会社ハルメク・エイジマーケティングを設立し代表取締役に就任。

株式会社ハルメク・エイジマーケティング
https://halmek-agemarketing.co.jp/

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