終活市場の最新状況をリサーチ!シニアが求める終活サービスとは?

終活という言葉も定着し、エンディングライフや終活ノート、50代からの断捨離(荷物の整理)といった話題は、雑誌やマスコミでもよく取り上げられているトピックです。終活に関する市場規模は年々拡大しているように見受けられますが、実際にシニア層はどんな終活を行っているのでしょうか?あるいは、行っていないのでしょうか?

ハルメク生きかた上手研究所では2018年以降、約2年ごとに「終活に関する意識と実態」調査を実施しています。本記事では2018年・2021年とコロナを経て終活の認識や実施状況などを比較しながら、最新の終活市場の状況をお届けします。


~調査概要~
調査手法:Webアンケート
調査期間:2023年2月15日〜2月28日
 ※過去調査は2021年3月、2018年11月に実施
調査対象:全国の50〜79歳男女2,000名
 ※配偶者の有無、年齢5歳刻みで均等割付
 ※今回記事で掲載している分析結果は60~74歳が対象
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所

目次

60~74歳で「終活は必要」とする割合は77.1%。では実際に終活を始めている人の割合は?

2023年における60~74歳の「終活」実施状況では、「終活は必要」と思う人は全体の77.1%とかなり高い割合になっています。ところが「終活をすでに始めている」人は、全体の42.4%です。

多くのシニア層が終活の必要性を感じてはいるものの、終活に取り組んでいる人は少なく、意識と実際の行動にギャップがあることがわかります。「終活」について考えることはあっても、まだまだ先のことと思い、なかなか実際の行動に移せない、行動しようとまでは思わない人が多いのかもしれません。

では、2018年、2021年と比べて、終活に対する意識は変化しているのかを見ていきましょう。

「終活に関する意識の変化」2018年/2021年/2023年を比較

終活を完了している人の割合は、2018年から2023年までの間に、6.7%から7.7%と若干ですが増加しています。しかし、全体から見ると1割にも届いていません。終活の一部を実施している人の割合も、2018年は32.2%、2021年は31.1%、2023年は34.6%と微増していますが、大きな変化はありません。

要するに、コロナをはさんだ2018年から2023年の間に、終活に関して劇的な変化はなく、全体的に「終活を後回しにする」傾向は継続していると考えられます。

また、終活の必要はないと考える人は、2018年の18.9%から2021年には21.0%へ、そして2023年は22.9%と少しずつですが増えています。

終活という言葉は2009年雑誌の特集で使用されたことから広がり定着したと言われています。終活は流行語にもなり、エンディングノート、エンディングライフとさまざまなキーワードも派生しましたが、終活マーケットは2023年現時点で足踏み状態、一時的かもしれませんが鈍化しているように見受けられます

終活市場が、いわゆる踊り場にさしかかっているとすれば、アプローチ方法を変えたり、新たなニーズを開拓したり、新しいマーケティングプロセス構築の検討が必要ではないでしょうか。

必要な終活ランキング1位は?新たな傾向とは?

2023年の「やり終えた」を含む必要だと思う終活の1位は、「家具や家の中の荷物整理・処分」(36.3%)で、2021年から5ポイント以上減少しました。続く2位の「金融口座・金融商品の整理」(29.9%)も、同じく5ポイント以上減少しています。

全体的に見ると、他の項目も2021年より減っている傾向があります。

上記グラフは5位までですが、【抜粋版】では6位~15位のデータも掲載しています。

今回記事では掲載していませんが、注目したいのが、今回の調査から新設された「投資信託、株式投資など資産運用をはじめる」が、10.6%で17位にランクインしている点です。バブルを経験している年代も多いシニア層にとっては、「銀行にお金を預けても、いっこうに増えない」中で、投資や運用といった資産形成への関心度が高まったと推測できます。またiDeCoやNISAが浸透し、これまで「一部の特別な人が行うもの」だった投資が、より身近になり、比較的少額からスタートできるようになったことも、資産運用を始める人が増えた要因のひとつと考えられます。


「金融口座や金融商品を整理する」は、「捨てる・減らす・やめる系」ですが、「資産運用を始める」は「見直す・増やす・始める系」です。これまで終活といえば、今あるものを整理し、できるだけ身軽になることを理想とする傾向がありましたが、逆に、新たに始めることも「終活のひとつ」と捉える層が増えていることは注目したい点です。

ハルメクでは、減らす・やめるの「引き算終活」と、増やす・始めるの「足し算終活」は対立しているのではなく、お金やモノを整理したら、次になにかにチャレンジしたくなるとつながっていくものと考察しています。

この他、必要な終活ランキングの詳細を分析していくと、シニア層の求めているものがより鮮明に見えてきます。総じて減っている「必要だと思う終活」ですが、若干ではあっても増えているものもあり、また年代別や世帯金融資産別など属性ごとに違った調査結果が出ていることも興味深い点です。個々の暮らしに合わせた、パーソナライズドマーケティングがより重要性を増してくるのではないでしょうか。

【無料】終活に関する意識と実態調査2023報告書抜粋版

総務省(※1)は、令和5年の総人口における高齢者(65歳以上)の割合は29.1%で過去最高と発表しています。今回の調査で、終活市場は踊り場にさしかかっていることがわかりました。しかし高齢者の割合が増えることを考慮すると、依然として終活サービスやそれに関連する商品への需要はあると推測されます。暮らしのダウンサイジングを中心とした「「捨てる・減らす・やめる系の終活」から、「見直す・増やす・始める系の終活」も含め、終活のニーズは多様化しているようです。

シニアとひとくくりにせず、ターゲットとなるシニア層の年齢や子どもの有無、資産など属性別のニーズやトレンドを詳細に知ることで、より適切なアプローチにつなげることが可能です。

今回ご紹介したのは、終活に関する意識と実態調査2023のごく一部です。調査概要やグラフなどをまとめたサマリーデータは以下より、どなた様でも無料でダウンロードしていただけます。

ダウンロードはこちら


なお、こちらは無料公開している【抜粋版】の資料です。全調査項目のデータではございませんので、ご注意ください。

全調査項目について分析した【有料版】の「2023年終活に関する意識と実態報告書」を10万円(税抜)で販売しております。こちらのご購入方法につきましても、【抜粋版】の中でご案内しております。

有料版では「年代別」を中心に、一部「子どもの有無」「世帯金融資産別」等の属性で分析した詳細レポートや、具体的にどのような商品/サービスに関心があるのかも紹介しています。終活やエンディングライフにかかわる業界の方は必見の資料となっております。

※1 出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」

当調査内容に関するご質問、掲載や取材の希望については下記までお問い合わせください。

  • グラフの数値は四捨五入しているため、合計で100%にならない場合がございます。
  • 当調査データの無断転載を禁じます。すべての著作権は株式会社ハルメクホールディングス生きかた上手研究所に帰属します。
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この記事の監修者プロフィール

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ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,500人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2023年1月~6月

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