最新調査2023-シニアのデジタル利用状況とは?利用率から今後の使い方を予想!

最新調査2023-シニアのデジタル利用状況

シニアのデジタルリテラシー(デジタル技術を活用するスキル)の低さや、デジタルデバイド(情報格差)に陥りやすいなど、総じて「シニアはデジタルが苦手」と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか?

インターネット検索や気象情報のチェックなど、日常的にスマホを利用しているシニアは珍しくありません。シニアのファッショニスタ、通称インスタグランマの活躍も近年話題になりつつあります。今やアクティブなシニア女性はSNSも使いこなし、ネットショッピングも楽しんでいる様子です。その実態を数値化した最新の「シニアのデジタル利用状況」調査結果をご紹介します。

お客様の状況を収集し、分析するのはマーケティングの基本です。シニア層のデジタル利用状況を把握し、最適化した施策を打てるよう、ぜひ本記事の情報を活用してください。


~調査概要~
調査名:デジタルとネットの活用についてのアンケート
調査方法:郵送での質問紙配布アンケート
調査対象:55~74歳の全国ハルメク読者の女性
有効回答数:2023年は454名 ※2011年から毎年実施、回答者数はそれぞれ異なる
調査実施日:2023年7月12日(水)~9月4日(月)
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所

目次

最新調査からわかるシニアのデジタルデバイス利用状況とは?96.9%がスマホを利用

シニアのデジタルデバイス利用状況

最初に2023年シニア女性のスマホ利用率を見てみましょう。シニア女性のスマホ利用率は2017年に急速に伸びた後も上昇を続け、2023年は96.9%、昨年より2.6ポイントアップとなりました。

デジタルデバイドに陥りやすいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、スマホやパソコンでインターネットを利用するシニア層は広がり、情報を得る手段としてのデジタル活用は広く普及しています。デジタルの恩恵を受けられる層とそうでない層のギャップは縮まりつつある、と考えられます。

ただし、スマートウォッチやスマートスピーカーといったニューデバイスの利用率は横ばいです。歩数計や心拍数のチェックなど健康管理にも役立つスマートウォッチや、スマートスピーカーを用いたシニア向けサービスが、今後、どれくらいシニア層に認知され利用へと結びつくのか、継続して注視していきたい点です。

なお、年齢別による利用デバイスの機種の割合など詳細なデータはダウンロード資料で取りまとめております。こちらからご覧ください。

シニアのネットショッピングとSNSの利用状況

ネットショッピングはコロナ禍で利用が急増したものの、昨年は停滞傾向にありました。しかし、2023年は再び利用率がアップし、52%と過半数を超えました。シニア女性の2人に1人は、ネットショッピングを楽しんでいます。

家にいながらにしてさまざまな商品を比較検討でき、重い荷物を持たなくてすむネットショッピングの便利さを享受する割合が、シニア女性でも増えているようです。

またコロナ禍が明けたことで、シニア女性の購買意欲を促すような環境が戻ってきていることも、ネットショッピングの利用率上昇に影響を与えているかもしれません。

シニア女性、特にアクティブな層では外出や旅行の機会が増え、それに伴い新しい洋服や小物を購入する気持ちが高まっていることが推察されます。

家に人を呼ぶようになれば、インテリアを整えたり、料理を振る舞うために食材を揃えるといった購買機会も増えることも考えられます。

次にSNSの利用率についても見てみましょう。

SNSを利用する人の割合の推移

SNSを利用する人の割合の推移

※2023年はスマホまたはパソコンでの利用率




SNSの利用率は昨年からさらに上昇しています。特にインスタグラムの利用率は昨年と比べて4.7ポイント上がり、22.2%となっています。FacebookやX(旧Twitter)の利用率も上がっています。


Pinterestやnoteの利用者はまだ少ないようですが、いずれにしても上昇傾向にはあり、シニア女性が様々なSNSに関心を持っていることがうかがえます。

企業の公式SNSアカウント運用、SNSによる広告表示やキャンペーン展開、さらにはソーシャルリスニング(SNSでユーザーの声や意見を収集し分析)など、今後はシニア向けにも特化したSNSマーケティングの強化が求められると推測できます。

「ハルメク 生きかた上手研究所」では昨年発表した「2023-2024年シニアトレンドランキング」ではSNSをシニアがどのように利用しているかについても詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

コロナ禍と比較「2023年シニアの利用率がアップした・ダウンしたスマホの機能・アプリ」

2023年シニアの利用率がアップした・ダウンしたスマホの機能・アプリ

※2 2023年は別質問で聴取
※3 2020~2021年は
  ”テレビ電話・ビデオ会議(zoom、skypeなど)”と聴取
※4 2022年までは”スマホ決済”としてスマホ保有者のみ聴取
※6 2022年までは“割引クーポンの入手”と聴取



ようやくコロナ禍も過ぎ去り、日本全体が動き出している状況の中、シニア層の「コロナ前(2019年)」と「コロナ後(2023年)」における、スマホまたはパソコン利用者のスマホの機能・アプリの利用率を算出。二地点での利用率の差を、グラフの形をもとに次の6つに分けて分析をしてみました。

  • 上昇成長型
  • 上昇成熟型
  • 下降型
  • 山形
  • 谷型
  • 低空飛行型

利用伸び率が増え、今後もさらに増えていくだろうと思われる「上昇成長型」の筆頭は、オンライン決済・QR決済(+35.3ポイント)です。政府によるキャッシュレス決済の推奨やポイント還元事業、また各決済業者のキャンペーンなどもあって、一気にオンライン決済が普及したと考えられます。シニア層はお金に関することでは特に信頼性を求める傾向があるようです。政府によるキャッシュレス決済やオンライン決済の広報活動は、シニア層に安心感を与え、オンライン決済や簡単に扱えるQR決済が大きく広がったのではないでしょうか。

上昇成長型で20.0ポイント以上のアップとなったのは、他に、LINE電話(2020年〜+28.8ポイント)、動画の撮影(+23.9ポイント)、ポイ活(ポイントを貯める活動)(+21.2ポイント)です。
簡単で便利なLINE電話の利用率アップ、動画撮影をする人が増えたことは予測範囲内といえますが、ポイ活が21.5%から42.7%に上昇したのは、注目したい点です。

スーパーやコンビニなど、シニア層にとって身近な場所でもアプリによるポイ活が普及し、気軽に行えるようになったことが影響しているのかもしれません。また物価の上昇に伴い、ポイントを貯めて有効活用しようと考える人も増えているのではないかと推測できます。

調べ物・Web検索、LINEトーク、電話の発信・受信、写真・静止画の撮影は、安定して高い数値を保っている「上昇成熟型」で、すでに広くシニア女性に浸透しています。

シニアの利用割合がダウントレンド、伸び率が低いものとは

※1 2022までは”地図・ナビゲーション”と聴取
※5 2022年までは“スマホアプリで物の売買”と聴取

逆に利用率がダウンしたのはEメールです。依然として利用率は高いものの、連絡手段としてLINEトーク(メッセージ)が非常に普及したことが要因のひとつと考えられます。

コロナ禍による影響で、利用率がいったんは増えたが再び低下した「山型」は、YouTube or 有料の動画サービスと健康管理アプリです。また、コロナ禍で利用が減ったものの回復した「谷型」となったのは、ラジオと地図アプリです。

利用率が継続的に低い傾向を見せているのは、音楽・ゲーム・メルカリなどのフリマアプリ・電子書籍です。これらのデジタルツールやアプリも伸び率こそ「低空」ですが、環境の変化やトレンドによって上昇気流に乗る可能性はあります。今後の展開が注視されるところです。

シニア女性の多くがパソコンやスマホで情報収集や検索(88.0%の利用率)をしています。その一方で、電子書籍の利用率は9.3%とまだまだ少なく、本や雑誌、小冊子などの紙媒体が依然としてシニアにとって身近な存在といえそうです。雑誌や小冊子をぱらぱらとめくりながら、関心の高い商品やサービスを見つけ、スマホやパソコンでさらに詳しい情報をリサーチしている、アナログとデジタルを自然と両立させているシニア層は多いのではないでしょうか。

ポストコロナにおけるシニア女性のデジタル活用はどうなる!?傾向と今後の予測

最新の「デジタルデバイスに関する意識調査と実態調査2023」では、前述したようにコロナ前・コロナ禍・コロナ後による変化から、読み取れるポイントがあります。



  1.  大きな環境の変化に対応して、必要なアプリを選ぶ傾向がある。コロナ禍の最中には健康アプリが伸び、自粛期間には動画視聴サービスが重宝されたが、現在は減少傾向にある。

  2.  コロナ禍の反動から、外出、友人や家族との会食、旅行といったイベントが増えることが予測でき、アクティブなシニア女性の行動範囲・交流範囲は大きく広がっていると考えられる。デジタルデバイスの利用方法も多様化し、シニアもたくさんのデジタルツールやアプリから自分にとって便利なツールや必要なアプリを「選ぶ」ようになっている。

  3. LINEトークがEメールに変わって使用率が非常に高くなり、インスタグラムをはじめとしたSNSの利用率は今後も上昇していくように見受けられる。SNSマーケティングはシニア層に不向きであると言われてきたが、LINEやインスタグラムを活用したSNSマーケティング戦略はシニアにおいても必須になるだろうと思われる。

  4. 電子書籍の利用率は低く、手にとってページをめくるのに慣れ親しんでいるシニア女性は、雑誌や書籍を好んでいる可能性があることがわかる。一方でWebを利用した検索・調べ物をするシニア層は多い(88.0%)。オンラインとリアル、デジタルとアナログ、これらを賢く使い分けるシニアに合わせたマーケティング手法がポイントになる。


ポストコロナで伸びた/シュリンクしたデジタルサービスの傾向から、シニアは今後も取捨選択しながらデジタルを使い分けていくことが予見できます。

拡大するシニア市場「デジタルマーケティング」が鍵に

100兆円を超えると言われるシニア市場は、今後もさらに拡大することでしょう。

今回の調査から、シニア層のデジタルデバイドに陥りやすいという傾向は変化しつつありことがわかりました。デジタルツールを積極的に活用するシニア女性が増えている今、WebサイトやSNSなどによるアプローチの重要性は増しています。

シニア女性のデジタルリテラシーを正しく理解し、今後の予測を見据えてマーケティング戦略をたてていくことが、拡大するシニア市場でのビジネスチャンスをつかむ鍵のひとつ。増えているシニアのSNS利用者が閲覧するだけでなく、どれだけSNS投稿を行っているかなども、今回ダウンロード資料では調査結果を掲載しておりますので、ぜひ、最新版「シニアのデジタル利用状況」調査結果を活用してください。

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この記事の監修者プロフィール

生きかた上手研究所

生きかた上手研究所

ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,500人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2023年1月~6月

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