50代以上が直面する健康課題とはなにか? シニア女性を対象とした最新調査を解説

ただ長生きするのではなく、健やかに歳を重ねたい。暮らしを豊かに、人生をより楽しく。アクティブなシニア女性の活躍には目を見張るものがあります。そして、多くのシニア女性は日々を楽しく過ごすためには、何より「健康が重要」と認識しています。

シニア女性は、自分の健康について何が不安で、どういった症状に悩み、健康のための対策はどのように行っているのでしょうか。

雑誌ハルメクのシンクタンク「生きかた上手研究所」は、ハルメクのモニター50歳〜79歳のハルトモ476人を対象にした、シニア女性の健康課題調査レポートを発表。年を重ねることで気になっていく健康課題やニーズを把握することで、ビジネスチャンスが大きく広がります。本記事では、調査レポートをご紹介しながら、50代以上が直面する健康課題を読み解いていきます。


〜調査概要〜
調査方法:WEBアンケート
抽出方法:ハルトモ会員
エリア:全国
対象条件:50〜79歳女性
有効回答数:476サンプル(50-59歳/110s 60-69歳/248s 70-79歳/118s)
調査実査日:2023年9月8日(金)〜9月11日(月)

目次

シニア女性における今の健康状態

現在の健康状態について、「健康だと思う」「やや健康だと思う」は合わせて78.8%と高い数値になっています。

そもそもシニア女性にとって「健康である」とは、どのような状態なのでしょうか。

  • じぶんの足で歩き、頭で考え、じぶんの歯で食べる(56歳)
  • 朝スッキリめざめ、やるべきことをこなし、面倒がらずに食事を作り、それをおいしくいただく。そして夜にぐっすり寝られること(70歳)
  • いくつになっても話がちゃんとできて、億劫がらずに物事をこなし、自分で歩ける体を持つ(60歳)
  • 他人に頼らず、ひとりで生活できること(77歳)
    (自由回答より抜粋)

シニア女性の多くが、誰かの助けがなくても暮らしていける、自立した生活ができることを「健康な状態」と考えていることがわかります。


一方で、「5年後、10年後はどうなっていると思うか」の問いについて、特に10年後については、健康/やや健康だと思うと回答している方は、現在の78.8%から、34.5%にまで落ち込みます。5年後は比較的リアルに想像できます。しかし10年後の自分については、「どこか調子が悪くなっていそう」と漠然と考えている方が多いのかもしれません。低下の度合いは年代別で差が見られます。なお、各項目における年齢別・季節不調・特徴など詳細なデータはダウンロード資料で取りまとめております。こちらからご覧ください。

では、さらに詳しくシニア女性の健康状態を見ていきましょう。

現在調子が悪いところがないシニア女性はわずか7.6%

今の自分は健康・やや健康と思うシニア女性は約8割にのぼるものの、現在「調子が悪いところはない(あてはまるものがない)」という方はわずか7.6%という結果になりました。最も多い不調は「目」で43.3%です。

老眼は40代後半から始まる人も多いですし、市販薬の箱に表示された用法・用量の記述や、袋に書かれたパスタの湯で時間が見えづらくなって、「もしかして老眼?」と、はじめて老化現象を実感する人も少なからずいるでしょう。また、花粉症や結膜炎などで眼科に行った際に、「緑内障や白内障の検査をすすめられて焦った」といった話もよく耳にします。全体のトップに「目の調子が悪い」がくるのは、予測とかけ離れてはいない印象です。

続いて「歯の不調」が33.8%と続いています。虫歯や歯周病などの直接的なトラブルと共に、部分入れ歯にしたものの、しっくりこないといったこともあるでしょう。

グラフを見ると、ひざや足、手といった不調も20%近い割合になっています。

目は「見る」、歯は「食べる・話す」、手足は「日常動作」に影響があり、生活の質を左右するだけに、年を重ねるほど気になるポイントなのではないでしょうか。

シニア女性が気になる「体調不良の兆候」疲れやすさがトップ、続くのは?

明らかな病気とは別に、 現在発生している症状や気になる状況についての結果です。「疲れやすい/疲れが抜けない」がトップですが、年齢と共に疲れやすくなるのは仕方ありません。

2番目に多いのが「コレステロール値が高い」です。コレステロール値は勤務先や自治体による健康診断などで指摘されるケースが多いのではと考えられます。

グラフでは、トップ2「疲れやすい/疲れが抜けない」「コレステロール値が高い」をのぞくと、体調不良の兆候ともいえる症状はばらつきがあり、大きな差は見られません。夜中に何度も起きる、寝付きが悪いといった生活の質の低下、自律神経のみだれやなんとなく不安やモヤモヤする気分になる、やる気がでないといった、メンタル面の不調も気になるところです。

健康予防「シニア女性が行っている対策トップ3」

健康予防に関して気をつけていることでは、7割を超えるシニア女性が「運動不足になりにくい生活を送ること」を挙げています。昨今はシニア女性に特化したフィットネスジムやヨガ・ピラティス、ダンススクールなどの人気が高いことからも、関心の高さがうかがえます。

2番目は「免疫力をつけること」でした。ここ数年は新型コロナウイルス感染症の流行もあったため、免疫力について多く取り上げられてきました。風邪は万病のもとと言われますが、今後また新たな感染症が流行らないとは限らず、免疫力を重視するシニア女性が増えたのではないかと考えられます。

3番目に「ストレスのたまりにくい生活を送ること」が60.3%で続いています。

以上がシニア女性の健康対策トップ3ですが、ストレスのたまりにくい生活に加えて、4番目の「睡眠不足になりにくい生活」、5番目の「認知症になりにくい生活」という結果から、健康が必ずしも「病院のお世話にならないこと」だけを意味するものではないと考えられます。シニア女性の健康対策には、「生活を楽しめる心と体の状態を維持する」意識も多分に含まれているのではないでしょうか。

健康に関する年間支出は二桁!医薬品・サプリメントを上回った1位は

シニア女性が1年間で「健康」にどれくらいお金をかけているかの調査結果です。健康にかけるお金の内訳として、30%近くがフィットネスジムなどの運動サービスに費やされており、医薬品の18%、サプリメントの15%を上回ります。活動的なシニア女性が多い、ハルメク読者層の特徴とも言えるかもしれません。

健康にかけるお金の内訳を見ると、運動サービスが平均約3.6万円ともっとも高く、医薬品やサプリメントが年間2万円前後で、整体やマッサージが続きます。健康グッズの購入なども含めて、1年間で健康にかけている平均金額は約13万円と二桁にのぼっています。

手軽な運動が人気「シニア女性が行っている運動と1回あたりの運動時間」

では、シニア女性が実際にどんな運動をどのくらいの頻度で行っているのかを見てみましょう。

ストレッチ・体操とウォーキングがトップ2で、どちらも70%を超えています。特にストレッチ・体操は79.8%と非常に高い割合になっています。

また、1回あたりの運動時間は、水泳やヨガ、ダンスなどのスポーツは約1時間、ストレッチや筋トレは30分前後が多くなっています。手軽にできるウォーキングですが、1回あたり約1時間となっており、ゆっくりペースと仮定すると、距離にして約4km、歩数にすると約6,000歩です。

このように「しっかり運動する」時以外にも、シニア女性は日頃から意識して体を動かしています。日常動作の中で行っている運動についての問いには、家事の合間や移動中の待ち時間を利用し、ストレッチやつま先立ち運動をしているといった回答が多く挙げられています。

  • お風呂の中で足のストレッチをする(75歳)
  • ドライヤーで髪をかわかしながら、かかと落としをして骨に刺激を与えている(62歳)
  • 歯を磨きながらつま先立ち、テレビを見るために座る前にスクワット数回(71歳)
  • できるだけ車を使わず歩いたり、交通機関を利用したりする。エスカレーターはできるだけ使わないようにする(66歳)

普段から、ちょっとした運動を続けようと努力していることがうかがえます。

シニア女性「続かない」の他にも健康予防での悩み

健康全般に関しては、「健康のための活動をしたいが、継続的に行うことが難しいと感じる」がトップで42.9%です。次いで「費用負担が大きい」で経済的な負担も障害になっていることがわかります。

割合は多くはありませんが、「健康に気をつけることに疲れがある」「雑誌やサイト、テレビなどで健康情報を見ることにうんざりしている」という意見も一定数あることは、興味深い点です。シニア女性は健康への意識は高い一方で、怒涛のように流れ込んでくる健康情報に振り回されることを懸念する傾向もみられます。適切なアプローチをしないと、シニア女性の健康に関連する商品・サービスの情報も拒まれる可能性があることは、ビジネス上でのポイントとして留意したいところです。

健康的な食生活の実践は大変!?シニア女性の関心は「食費・添加物・外国産」

健康と食事は密接な関係があります。体のために良い食事をとろうとすると、どうしても食費が高くなりがちです。悩みのトップは「食費がかかる」ですが、2番目の「無添加の素材を使いたいが、料理によっては添加物の入った食品を選択せざるを得ない」、3番目の「国産の素材を使いたいが、料理によっては外国産の食品を選択せざるを得ない」も、無添加や国産の食品が少ないことが問題であると共に、これらの食品は概して値段が高いこともネックになっているのではないでしょうか。

特に2023年半ばから2024年にかけて、食品は大幅に値上がりしています。食費は家計でもっとも「節約しやすい」領域でもあり、また同時にもっとも「浪費しやすい、贅沢しやすい」ものでもあります。良い素材を使った健康的な食をとりたいと考えつつも、手頃な値段で無添加・国産の食材を揃える難しさや料理の手間を考えると、なかなか実践できないもどかしさは、シニア女性に限らず、主婦の悩みと言えるかもしれません。

「50代」「60代」「70代」 年代によって大きく違う健康への意識

今回の調査結果をまとめてみましょう。

  • 現在の健康自覚(健康だと思う・やや健康だと思う)は78.8%と高いが、体の部位でどこも調子が悪くないシニア女性はわずか7.6%である。
  • 調子の悪い部位は「目」「歯」「腰」がトップ3。体調不良の兆候としては、「疲れやすい/疲れが抜けない」がトップに。
  • 健康予防で気をつけていることは「運動不足にならないこと」、次いで「免疫力をつける」「ストレスをためない」と続く
  • 健康に関してかけているお金は年間平均約13万円。運動サービスにお金をかける傾向がある。
  • 普段から行っている運動はストレッチやウォーキングが突出して多い。
  • 健康全般に関する意識では、「健康のための活動を継続的に行うことが難しい」ことがもっとも多く、さらに費用負担なども悩みのひとつとなっている。また健康情報の過多、正しい情報の取捨選択などで悩んでいるシニア女性も少なくない。
  • 食全般に関する悩みとしては、健康的な食生活をしようとするとお金がかかること、添加物が入っていない国産の素材を選びたくても難しい状況を挙げている

概要は上記の通りですが、ひとつひとつのデータを見ていくと、年代によって大きく差があるものも少なくありません。

一例として挙げると、現在調子の悪い箇所で43.3%とトップだった「目」は50代で51.8%と高く、70代は39.0%と10ポイント以上の差があります。反対に「耳」は50代、60代でそれぞれ約14%、約11%であるのに対し、70代では約24%と2倍程度に多く挙げられています。

どんな運動を行っているかの調査も、年代別で見ると意外な結果が出ています。

このように「シニア女性」と、ひとくくりで捉えることはできません。各年代別による健康意識・健康課題を的確に把握し、ビジネスに活かすことが重要です。

ダウンロード資料では、本記事でまとめた内容以外にも各年代別で集計したデータをご覧いただけますので、ぜひご確認ください。

また、将来的な健康不安についてなど公開していない調査情報もありますので、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

この記事の監修者プロフィール

生きかた上手研究所

生きかた上手研究所

ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,500人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2023年1月~6月

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