50歳以上の行動・マインド、老後の楽しみ丸わかり!2023-2024年シニアトレンドランキング

長く続いたコロナ禍とマスク生活にやっと終わりが見えはじめ、外向きマインドに徐々にシフトした2023年。自由に活動できる解放感であふれた社会の中で、シニア世代はどういったモノに関心を持ち、どういった価値観を重視して、これからどのように過ごしたいと考えているのでしょうか?

50歳以上を対象としたビジネスの実践には、これまでのシニア像に捉われず、今どきのシニアが感じている生きがいや老後の楽しみをしっかりと把握できるかどうかが重要になってきます。

シニア世代のリアルな今を明らかにするために「ハルメク 生きかた上手研究所」は、シニアの調査・分析を行い、主にシニア女性のインサイトを発掘。【2023-2024年 シニアトレンドランキング】を発表しました。

2023年の傾向を振り返るとともに、2024年も続くと思われるトレンドの芽をキーワードでご紹介します。あなたが思い描いているシニア像を、しっかりとアップデートしていきましょう!

目次

【2023-2024年シニアトレンドランキング】 “今どきシニアの生きがい”が明らかに

【シニアトレンド1】 #インスタグランマ


SNSは若い世代のものと捉えがちですが、実はシニア世代にもSNSはしっかり浸透しています。しかも、年齢を気にせずにおしゃれを思う存分楽しみ、
SNSにこだわりのライフスタイルを日々投稿する50~80代のファッショニスタ、通称「#インスタグランマ」も出現し、脚光を浴びています。

シニアのメディア接触のスタイルは、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたことなどが影響して、大きく変化しました。シニアのSNS利用率は、コロナ前(2019年)の【11.9%】から、現在(2023年)は【31.9%】と急拡大。中でもインスタグラムの利用率は、【4.4%】から【22.2%】へと急伸しました。シニアの約4人に1人が、インスタグラムを活用しています。

シニアSNS利用率【2023】

~調査概要~
調査名:デジタルとネットの活用についてのアンケート
調査方法:郵送での質問紙配布アンケート
調査対象:55~74歳の全国ハルメク読者の女性
有効回答数:2023年は454名 ※2011年から毎年実施、回答者数はそれぞれ異なる
調査実施日:2023年7月12日(水)~9月4日(月)
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所


おしゃれへの好奇心に満ちあふれ、年齢を気にせずパワフルに輝く「#インスタグランマ」の存在は、同世代のシニアに希望や勇気をもたらすだけでなく、“人生のお手本にしたい、憧れのインフルエンサー”として、
幅広い世代から支持を集めています。

その人気は、10万人以上のフォロワーを持ち、あらゆるメディアに頻繁に登場する「#インスタグランマ」も存在するほど。彼女たちは、2024年以降もフォロワー数をますます増やして、SNSの世界で大活躍していくことでしょう。

【シニアトレンド2】 孫と推し活



【シニアトレンド2】 孫と推し活

シニアの間でも、俳優やミュージシャン、スポーツ選手、アニメキャラクターなどを夢中になって応援する「推し活」が広まっています。「推し」がいるシニア女性の割合は、2022年の調査では【35.2%】でしたが、2023年は【47.9%】に増加。シニアの約2人に1人に「推し」がいることが明らかになりました。

また、シニアの「推し活」は、お金をかける傾向にあります。「推し」にお金をかけている人の平均金額は、【年間102,883円】。2022年に比べて、12,000円以上アップしました。

~調査概要~
調査名:シニアの『推し』に関する実態調査
調査方法:Webアンケート
調査対象:50~81歳の全国の女性
有効回答数:461名
調査実施日:2023年6月9日(金)~6月12日(月)
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所


「推し活」のメリットは、毎日の生活の中で「推し」のDVDや動画、写真などを見ることでワクワク&ドキドキする瞬間が増えたり、ライブ会場などに出向くことで外出が増えて見た目にも気を遣うようになったり、生活に彩りが生まれ、気持ちが前向きになることにもあります。
「推し活」がシニアにとっての生きがいとなり、幸福度の向上も期待できると考えられます。

また最近の新しい動きとして、自身の子どもや孫と同じ対象を推すという傾向も見られます。子どもといっしょに球場で野球を観戦する、孫と同じアニメや漫画を見る、いっしょにライブに行くなど、「推し」を通じて、子どもや孫とのリアルなコミュニケーションを楽しんでいるようです。

2024年夏には、フランス・パリで五輪が開催されます。引き続き、シニア本人・子ども・孫の3世代で同じ対象を推し、世代を超えて、体験を共有するパターンは広がると予測します。

【シニアトレンド3】 筋トレ シニア

RIZAP(ライザップ)が手がける運動初心者向けのコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」の快進撃により、フィットネスジム業界のすそ野が広がりました。RIZAPの60歳以上の会員の比率は20%を超え、コロナ前の2倍になったという報道もありました。

シニア女性が健康に使う平均金額は、【年間128,829円】であることもわかりました。そのうち「運動サービス(フィットネスジムなど)」が占める割合は【27.6%】になり、「医薬品・医療品」【17.8%】や「サプリメント」【15.3%】を大きく上回っています。

~調査概要~
調査名:健康に関する意識と実態調査
調査方法:Webアンケート
調査対象:50~79歳の全国の女性
有効回答数:476名
調査実施日:2023年9月8日(金)~9月11日(月)
調査主体:株式会社ハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所


シニア女性は今までも健康意識が高い傾向にありましたが、これまでシニアの運動と言えば、「体操」「ストレッチ」「ウォーキング」に取り組む人がほとんどでした。それが、
ちょこっと気軽に運動できる場所が増えたことで、シニアの「筋トレ」への意欲が高まっているようです。

「筋トレ」をすることにより、姿勢がよくなる、代謝が上がる、慢性的な疲れを緩和できるなどのメリットがあり、筋力がつくことで日常生活の動作がラクになり、ケガを最小限に抑えることも期待できます。

シニアの中には、趣味や打ち込める楽しみがなかなか見つけられないという悩みを持つ方が多くいます。そのような人にとって、手軽に取り組める「筋トレ」が毎日こなすべき目標となり、健康的な体を手に入れられると同時に、気持ちを前向きにすることができます。

これらの効果から、2024年以降も「筋トレ」に励むシニアが増大することが見込まれることでしょう。

【シニアトレンド4】 投資はじめました



これまで「資産運用は現役世代がやるもの、人生を折り返した私たちには関係ない」と考えるシニアが多く、大半のシニアは投資と距離を置いていたと思われます。しかし2023年は円安の動きや物価上昇により、資産を銀行口座に預けっぱなしにしていたのでは目減りする一方だと気づき、投資に乗り出すシニア世代が増えてきたようです。

50歳以上女性の資産運用者は、コロナ前(2019年)に比べて、2023年は6 倍に増加。シニア世代が全体に占める割合も2019年の【4.9%】から、2023年は【11.9%】へと増えました※。
※大手ロボアドバイザーの実績

2024年は、新NISA制度も始まりました。ますます投資に興味をもつシニアが増え、日本経済に活気をもたらすと予測します。

【シニアトレンド5】 シニアは体(タイ)パ

若者と同じく、シニア世代も時間対効果、いわゆるタイムパフォーマンス(※略してタイパ)を重視する傾向にあります。

2023年は、レトルトや冷凍食品、総菜などの調理済みの食品を毎日の生活に取り入れるシニアが増えました。料理などの家事を省くことで、時間を効率よく使うことでき、趣味や楽しみに使う時間を増やせると気づいたシニアが多かったようです。

また猛暑の中、無理に家事をがんばらず、うまく省略することで、時間を効率よく使えるだけでなく、体への負担も減らせることもわかりました。時間に加えて、体も効率よく使えるようになるため、タイパに「体(タイ)」の文字を当てています。

2024年のお正月はおせちを手作りせずに、ネットショッピングなどで「冷凍おせち」を早めに注文するシニアも多くいました。今後も体への負担を減らしながら、時間を効率的に使う工夫が進むと予想します。

【50歳以上の生きがい&老後の楽しみ】をビジネスに活用する3つのポイント

ここまでシニアトレンドをキーワードでご紹介してきました。老後の楽しみは、シニア本人が生きがいややりがいを感じられるものであれば、どんなものでも構わないということがおわかりいただけたかと思います。

ここからは、シニアを対象としたビジネスには生きがいや老後の楽しみをどのように活用すればいいのか、シニアにはどのようなアプローチが有効なのかについて、おさえておきたい3つのポイントをご紹介します。

1)シニアが関心を持ちやすいテーマを選ぶ

シニア世代の生きがいは、無理矢理見つけ出すものではなく、自然と見つけられることが理想です。そのためにはシニアが普段の暮らしの中で、自然と関心や興味を持てるテーマを活用したアプローチを心がけると良いでしょう。

例えば、シニアが関心を持ちやすいテーマでのイベント開催などが、アプローチの一つとして挙げられます。シニアの中では、「#インスタグランマ」や「孫と推し活」のように、SNSをすでに大いに活用している層がいる一方、関心はあるものの、いまだSNSの活用には不安があるシニアも多く存在します。その層に向けたSNS活用の講習会などを開催し、その講習会のプログラムに自社サービスにつながる内容を盛り込むことで、自然な形でのシニアへのアプローチが可能になります。

2)シニアの健康をサポートする姿勢をアピールする

シニアトレンドのキーワードに「筋トレ」や「体(たい)パ」が挙がるように、シニアの健康への意識はとても高まっています。と言うのも、せっかく生きがいや楽しみを見つけても、病気やケガをしてしまったら続けられなくなるという心配がつきものだからです。老後になって時間ができたら山歩きや海外旅行を楽しみたいと思っていたのに、実際にシニアになってみたら健康面や体力に不安があって諦めた、なんてケースもよくあります。

そんな健康志向を強く持つシニアに向けて、健康の維持や増進をテーマにした商品開発やサービスの提供は有効です。シニアの健康をサポートする姿勢をアピールすることで、“自分のことを理解してくれている会社”だと認識してもらうことができ、企業への信頼感を高めることができます。

3)シニアのお金への価値観を意識する

シニアトレンドのキーワードに「投資はじめました」が挙がるように、お金に関心をもつシニアが増えています。新たな楽しみを見つけたけれど、実際に始めてみたら想定以上に費用がかかって大変、というシニアの声もよく聞こえてきます。老後のお金の使い方や守り方にはメリハリがきいています。

そんなシニアには、自社の商品やサービスの価格に見合う機能や品質をしっかりと伝えて、コストパフォーマンスを納得してもらうことや、60歳以上などの対象者限定・期間限定などのお得なキャンペーンを実施することなど、シニアのお金に対する価値観を意識したアプローチを心がけましょう。

【シニアにくわしい専門家の見解】

「ハルメク 生きかた上手研究所」 所長 / 梅津 順江(うめづ ゆきえ)
2016年3月から現職。主に年間約900人のシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを実施。

転換期にある2023-2024、シニア独自の未来への種まき

2023年。国際情勢が一段と不安定化し、不確実性が高まりました。日本経済においては物価高や海外経済の減速などの下押し要因が目立ちます。シニアも昨今のインフレ対策として『投資(を)はじめました』。今年は最高気温35℃以上の猛暑日が連日観測されるなど、気候変動が避けられないことを実感しました。『シニアは体(タイ)パ』で、時間だけではなく体を労わる工夫をしながら変化に適応しています。また、自分の健康は自分で管理せねば、と筋トレにも意欲的です。気軽に運動できる場が整いつつある中で、『筋トレ シニア』はますます増えていくと予測します。

不安、不確実といった負の要素ばかりではありません。明るい兆しがみえた1年でもありました。新型コロナウイルス感染症が5類に移行して、人々が日常に戻りました。インバウンド消費が再開しています。シニアも例外ではなく、外向きマインドにシフト。おでかけ機会が増え、外食産業や百貨店の復調に関与しました。WBCやラグビーワールドカップ2023での日本代表の活躍などスポーツイベントが目白押しだったことも影響してか、『孫と推し活』をしました。推しを通じて子や孫とのリアルなコミュニケーションが復活しています。現役世代では、「生成AIで DXの推進」への期待が大きい年でもありました。シニアのデジタル化も加速し、2023年はSNSが大幅に普及。『#インスタグランマ』での活躍は同世代のみならず、全世代の人生のお手本にもなっています。

転換期の今、あらゆることが重要な局面にあります。シニアにとって、「君たちは、どう生きるか」は「私たちは、どう老いるか」という意味と重なります。変化が激しく、先行きも見通せず、複雑で曖昧な時代をどう生き抜くか、どう老いていくかは大きなテーマです。人生を折り返しても、「SNS」「ネットショッピング」「推し活」など、新しいことに挑戦しています。「投資」「筋トレ」にも踏み出しています。人口が多いシニアが前向きに動き出せば、よい経済効果を生んでいくに違いありません。一方で、これから迎える長寿社会の中で自分が無理せずラクに老いるコツや知恵を探しています。前向きな気持ちとカラダとの折り合いをつけながら、決して若者の追随だけではない、シニア独自の新しいトレンドは、今後も生まれていくことでしょう。シニアが未来への種まきを始めています。

【シニアをもっと理解したいなら】 ハルメクのリサーチがオススメ!

ハルメクでは、徹底したマーケティングリサーチと、20年以上シニアと向かい合い培ってきた理解力を活かし、シニアを対象としたビジネスのためのトータルなソリューションをご提供しています。シニアのリサーチに関しては、シニアの実態・意識や潜在的な市場ニーズなどを最適な手法で探り、リアルタイムで深い調査結果をご提供いたします。

また、調査だけで終わらせず、得られた知見をもとに、戦略立案から施策実行までをワンストップでご提案することも可能です。シニアのインサイトに迫る深いリサーチと、結果にコミットするアウトプットを同時に実行いたします。

「シニアのインサイトを理解したい」、「シニアの声を商品開発やサービスに活かしたいが、やり方がわからない」などお困りの場合は、ぜひハルメクのリサーチをご検討ください。ご相談もお待ちしています。

■ハルトモの活用

「ハルメク 生きかた上手研究所」では、「ハルメク」から生まれた4,500人以上のモニター組織「ハルトモ」との濃いつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

「ハルトモ」を対象とした定量調査・定性調査により、商品・サービス導入のターゲット、訴求ポイント、障壁等に関する仮説を立案することが可能です。その仮説をもとに、体験会等のイベントを行い、シニアの生の声を分析することで、仮説の検証や課題の深掘りができます。ハルメクと濃い結びつきのあるシニアと協働して、商品・サービスやライフデザインを創出することもできます。

■インサイトの理解

「ハルメク 生きかた上手研究所」では、日々シニアを洞察しているからこそ見えていること、蓄積した多くのインサイト、生々しい情報をもとに、半歩先の未来を創り出しています。

ハルメクが蓄積してきた「シニアを知るノウハウや知見」をご提供し、御社の課題解決を支援するだけでなく、次のアクションを視野に入れた熱い提案をいたします。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者プロフィール

生きかた上手研究所

生きかた上手研究所

ハルメク生きかた上手研究所は、雑誌「ハルメク」の全月刊誌販売部数No.1達成(※)を支えた社内シンクタンクです。「ハルメク」から生まれた4,500人を超えるハルメクモニター(通称:ハルトモ)とのつながりを起点に、コンテンツ・商品・サービスの開発につなげています。

※日本ABC協会発行社レポート2023年1月~6月

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