ハルメク 山岡朝子編集長直伝! シニアマーケティングを成功へ導くメソッドと工夫とは?

2017年、雑誌「ハルメク」の販売部数は過去最低にまで落ち込んでいましたが、それからわずか5年で3倍に成長し、女性誌販売部数No.1を獲得しました。その立役者が、ハルメクの山岡朝子編集長です。

本記事では、ハルメクをV字回復に導いた山岡編集長直伝のシニアマーケティングの成功メソッドや工夫をご紹介します。

目次

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ハルメク 山岡編集長のプロフィール

 

山岡編集長は、総合出版社にて主に暮らしや住まいに関連する雑誌の編集長を13年間にわたり歴任。2017年に「ハルメク」編集長に就任すると、斬新な改革を次々に実行し、同誌の販売部数をわずか5年で3倍に成長させ、V字回復に導きました。
現在は雑誌「ハルメク」の編集長を務めるほか、紙・デジタル問わず、コンテンツ事業全般を統括しています。

山岡朝子編集長の経歴

 

■大阪大学文学部卒業
■2004年から7誌の女性誌の編集長を歴任
■2015年に編集長を兼務しながら経営大学院で経営学修士(MBA)を取得
■2017年からハルメク編集長に就任
■2022年には雑誌「ハルメク」の販売部数を全雑誌No.1※に成長させる
■NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、TBS「日曜日の初耳学」に出演
■雑誌「ハルメク」の編集長、ハルメク365とコンテンツ事業全般の責任者を務める

 

全雑誌販売部数No.1となった雑誌「ハルメク」の詳細はこちらをご覧ください。


※日本ABC協会発行社レポート(2023年1月~6月)

山岡朝子編集長が率いるハルメクのここがすごい!

 

徹底したシニアへの調査・ヒアリングにより「シニアのインサイトを探求すること」でハルメクは販売部数を増加させ、シニアマーケティングを成功させてきました。
インサイトとは、本人も気づかないような本音や願望のことであり、この本音にどのようにたどり着き、いかに先回りしてコンテンツをお届けするかが重要です。シニアのインサイトを落とし込んだコンテンツは、「私が欲しかったのはこの情報だ」といった感動や驚き、発見を読者に届けることができ、ファンになっていただけます。

 

書店で売られる一般的な雑誌は読者のインサイトを探るのが難しいですが、ハルメクでは読者の自宅に直接届く「直販スタイル」を取っており、読者と近い距離で雑誌を作れます。ハルメクではこの距離の近さを活かし、誌面制作の半分(3か月間)を調査にあて、掲載する企画は本当に読者が求めている情報なのか、徹底的にシニアのインサイトを探求しています。

 

また、編集部全員で月に3000枚ほど送られてくるご意見はがきを一枚残らず目を通して、シニアの価値観や置かれている状況などをインプットして、企画を考えることもあります。このように、シニアのインサイト探求のために、膨大な時間と手間をかけています。

 

では、このインサイトを探求する際に、山岡編集長が特に大切にしている成功メソッドとは何なのでしょうか?以下では、山岡編集長が登壇したハルメク主催のオンラインセミナーより、雑誌「ハルメク」がV字回復した要因である、成功メソッドをご紹介します。

山岡朝子編集長直伝!
シニアの「インサイト探究」で大切にしている成功メソッドとは?

ハルメクがシニアのインサイトを探求する際に特に大切にしている成功メソッドとして、以下の3つがあります。

成功メソッド1:シニアへの思い込みを捨てる

1つ目のメソッドは、シニアへの思い込みやイメージを捨てることです。
多くの方が「シニアとはこういうもの」というイメージをもっており、固定観念にもとづいてシニアマーケティングを行ってしまっています。例を挙げると、シニアはおしゃれに興味がない、時間に余裕がある、話題についてこられないといった思い込みです。

 

実際には、シニアはおしゃれにも美容にも多大な関心があります。しかし、世代に合ったおしゃれや美容の「やり方」がわからないのも事実です。
また、多くのシニアは孫の世話、地域の活動などに忙しく、短時間かつ手軽にできることを求めています。さらに流行の話題に関しても、決してついてこられないわけではなく、はやりのアニメやアイドルなどにも興味をもっている人もいます。ただし品性は重要視しているため、マーケティングの際にはその点に留意しなければなりません。

 

以上のように、シニアの実情は一般的なイメージとは異なっているため、シニアマーケティングにおいては「思い込み」や「こうあるべき」という理想像で勝手にひとくくりにしないことが非常に重要です。

成功メソッド2:シニアのインサイトを知り、ペルソナを設定する

2つ目のメソッドは、シニアのインサイトを知るとともに、ペルソナを設定することです。
ハルメクでは、シニアの真のインサイトを探求するため、「ご意見はがき」、「直接お会いする」、「シンクタンクによる定量調査」という3つの取り組みを行い、シニアのリアルな声を集めています。

 

雑誌が発売された後には、千人規模の満足度調査を実施し、1ページずつ詳細な評価を回収し、PDCAを回しています。こういった調査を経てインサイトを探求しています。
リアルな声を集める取り組みの詳細は、以下記事でご紹介しています。


 

また、上記のようなインサイトの探求にもとづき、ハルメクではペルソナ設定を行っています。
編集部全員で、送られてくるご意見はがきに目を通したり、社内シンクタンクの調査・ヒアリングを参考にしたりして編集部全員で詳細なペルソナを作り上げ、ここから企画が発生します。

 

たとえば、下記画像のようなペルソナを設定し、ハルメク誌面では明るく、楽しく、軽やかに、手軽に取り掛かれるものの提案を心がけています。


成功メソッド3:読者との信頼性をつなぐ~ハルメクは「おくすり」よりも「おまもり」~

3つ目のメソッドは、読者との信頼性をつないでいくことです。
このために、ハルメクは読者にとっての「おくすり」よりも「おまもり」になるということをテーマに掲げています。

 

「おくすり」とは、何らかの問題が起きたとき、解決策を提示し解決することです。「おくすり」は病気=トラブルや困りごとを治すうえで確かに重要ですが、ハルメクは長期にわたって寄り添っていける「おまもり」を目指しています。

 

このようなテーマをもとに、読者から「ハルメクがあれば、これから先起こりうる困ったことや、あるいは自分でも認識していない困りごとがあっても安心だ。だからハルメクを解約せず、“おまもり“としてずっともち続け、読み続けたい」と思ってもらえることを目標にしています。

 

また、この「おまもり」の考え方はシニアマーケティングだけではなく、シニア向けのビジネスにおいて非常に重要だと言えます。

山岡編集長が考える「ハルメク」での工夫

先述した3つのメソッドのほかに、山岡編集長が考える「ハルメク」の工夫やポイントをQ&A形式でご紹介します。これらはセミナーの参加者から山岡編集長へ実際に寄せられた質問と、それに対する回答をもとに構成しています。

ポイント①:雑誌を直接届けることで顧客と密な関係を作る

Q:ハルメクは書店で販売していませんが、その理由をお伺いしたいです。

 

A:ハルメクは読者との密な関係を優先しているからです。

 

書店で販売した場合、確かに手に取られる機会は多くなりますが、どのような方が購入したのか、あるいは購入をやめてしまった方や1回きりの購入になった方が、なぜそうなったのか確認できないデメリットがあります。
一方直販スタイルであれば、顧客の属性や変化を確認でき、実際に気になることがあれば直接お伺いもできます。このような顧客のつながりを大切にしているため、ハルメクでは直接雑誌を届ける直販スタイルを行っています。

ポイント②:データだけにとらわれない

Q:データに裏打ちされても特集や記事として取り上げたいものではなかったり、逆にインスピレーションが働き取り上げることがあったりはされませんか。

 

A: ハルメクではさまざまな形でデータ収集を行っていますが、データを解釈し、何を作り出すかを考えるのは編集部のクリエイティビティです。
たとえば、データでは浮かび上がってこなかったものの、何らかのインサイトがあるのではないかという仮説が立つ場合があります。そのような場合、仮説をまずは小さなスポットで取り上げてから効果・反響を見ることで、検証を行っています。

ポイント③:読者に配慮した誌面の配置・言葉選び

Q:読んでいただくための言葉の選び方、言い回しなど常に気に留めていることがあれば教えていただきたいです。

 

A:雑誌を読んでいただくためにまず大事にしていることは、誌面の配置・レイアウトです。脳の中でどのような順番で読むと納得していただけるのか、その段階とスピードを考えて誌面を制作しています。

 

言葉選びに関しては、読者をお年寄り扱いしないことが大前提です。ハルメク誌面では「シニア」という単語は基本的に出てきません。また、「年を取る」というフレーズを使わず、「年を重ねる」と表現するなど、ポジティブな言葉で執筆するよう心がけています。
年齢を重ねることとは何かを失うことではなく、どんどん豊かになって何かを得ていくことである、というイメージを共通認識とし、誌面を制作しています。
そのほか、カタカナ語や省略語は多用しないなど、細かな言葉の使い方にも気をつけています。

ポイント④:半年にわたる制作期間とスタッフ体制

Q: ハルメク1冊を制作(企画~発行まで)するにあたってのスケジュールやスタッフ構成を知りたいです。

 

A:ハルメクでは、雑誌1冊を製作するのに半年の期間をかけています。これは一般的な月刊誌のおよそ2倍の期間です。半年間のうち、最初の3か月は調査にあて、残りの3か月で取材やデザイン、執筆などを行っています。
スタッフ構成は編集長を含めた13名です。長期にわたって行った調査を雑誌内に的確に反映させるため、外部への委託は基本的に行わず、編集部による内製を基本としています。

 

ここまで、シニアのインサイト探求のポイントと、山岡編集長が考えるハルメクの工夫を紹介してきました。では、実際にこのような膨大な時間と手間をかけてインサイト探求をしたことで、どのような企画ができ、反響に至っているのでしょうか?

ハルメクのシニアマーケティング成功事例
~顧客理解から生まれた2つのヒット企画~

本章では、ご紹介したメソッドやポイントを取り入れたことで、シニアの心をつかみ大ヒット企画となった事例をご紹介します。

成功事例1:実態調査で悩みを浮き彫りに。大ヒット企画に成長した「スマホ特集」

 

2017年7月号で初めてスマホ特集を行った際、新規読者を獲得した一方、特集の読者満足度が低いという課題がありました。

 

そこで、実際読者の知りたいことや悩みはどこにあるのか確かめるために、スマホ初心者の読者に日記をつけてもらう調査を実施しました。調査の結果、スマホ初心者の悩みはアプリに関するものではなく、「見ている間に画面が暗くなる」、「横・縦にすると画面がくるくるする」、「アップデートの案内が定期的に来るがどのように対応すればいいのかわからない」といった基本的な操作に関するものとわかりました。

 

調査結果を踏まえ、読者のつまずきを解消する“初心者向け企画”に焦点を絞ってコンテンツを制作したところ、新規読者数/読者満足度も上がり、名実ともに大ヒット企画へと進化しました。

成功事例2:お困りの声から不安を解消し、大反響を獲得した「ネット活用術」

 

コロナ禍になってから、「最近はなんでもインターネットになってついていけない」という読者のお困りの声が多く寄せられました。具体的には、「感染防止のために病院がオンライン予約制になった」「外出ができず、ネットでの買い物を推奨されている」「孫に会いたいが、オンラインでの通話ができない」といったお悩みです。

 

このようなリアルな声から、シニアがインターネットのどのような点につまずいているのか調査を実施しました。
その結果、「セキュリティ面が不安」「詐欺が不安」「操作が不安」といった、インターネットを使い慣れている方ならあまり注目しない点に不安があることが明らかになりました。

 

この事実をもとに、読者が使いたいネットの機能に特化した必要最低限の活用法や使い方を特集したところ、ヒット企画となりました。

シニアマーケティングを行うなら
シニアが熟読する雑誌「ハルメク」をご活用ください!

これまででご説明したように、ハルメクは常にシニアのインサイトを探求し、シニアに寄り添ったお悩み解決へ最適なコンテンツを展開しているため、読者から熱い支持を得ています。

 

また、雑誌「ハルメク」は企業向けに広告媒体を提供しています。シニアのリアルな声やニーズを反映した広告を定量調査から制作まで行い、その過程で上述したような工夫やメソッドを実践しています。


 

シニアマーケティングにお悩みの方、シニア向け広告の出稿をお考えの方は、以下のリンクから雑誌「ハルメク」の媒体資料をダウンロードしてご覧ください。

この記事の監修者プロフィール

シニアマーケティングLAB事務局

シニアマーケティングLAB事務局

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